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肺抗酸菌症 | 症状から調べる | ファミリードクター

肺抗酸菌症

肺抗酸菌症とは、抗酸菌類による感染症の総称です。よく知られている感染症では結核が該当します。肺抗酸菌症の原因菌は、結核と非結核性抗酸菌の2つに分類されます。

結核は日本でも患者数は多く、決して珍しくはない病気です。結核の診断が下れば、感染症法にともない第2類感染症として、医師は直ちに保健所へ届け出る必要があります。男性に多く、全体の6割程度です。

非結核性抗酸菌症では菌の種類が150種類ほどあり、その中で「マック菌」と呼ばれる病原菌が全体の約80%~90%を占めており、次に多い「カンサシ菌」では全体の10%を占めています。

多くは免疫不全の人や、中高年の女性に発症が見られます。女性の中でもやせ型体型の人が特に多いと考えられており、年間約8000人程度が発症しています。

また、肺結核の減少に対して非結核性抗酸菌症の患者は年々増加傾向にあります。

肺抗酸菌症の原因

結核

結核菌が人から人へ感染することで発症します。病気は数カ月単位で進行する特徴があります。

非結核性抗酸菌症

非結核性抗酸菌症の原因菌は、水の中や土の中などの環境下に潜んでいます。結核菌と違って人から人への感染はなく、環境から人へ感染する特徴がありますが、はっきりとした原因は未だ分かっていない部分もあります。

感染で最も多いケースは、水を多く使用する浴室や、土と触れる農作業中などに非結核性抗酸菌を吸い込むことで感染します。その他にも、免疫が低下した人は発症リスクが高まると考えられています。

病気は数年単位で、長い人は10年以上かけてゆっくりと進行する特徴があります。

肺抗酸菌症の症状

結核

結核の場合、風邪に似た症状で主に咳が現れ一カ月以上続きます。人によっては痰や血の混じった痰、発熱、体のだるさ等が現れることもあります。

非結核性抗酸菌症

全体の2~3割の人が無症状であると言われており、人によっては結核と同様に咳や痰、血の混じった痰、発熱、だるさなど、肺炎や風邪症状によく似た症状が現れることもあります。

中には体重の減少や息切れも感じる人もいます。無症状が多いことから、検診のX線検査などで偶然発見されることもあります。

人に感染するものではないので、社会生活に問題はありません。

肺抗酸菌症の治療

結核

結核の場合治療薬が存在し、使用方法も確立しているため98%の根治が可能です。一般的には薬剤治療を行い、リファンピシンやイソニアジド等の内服薬での根治を目指します。服用は約9ヶ月程度続けます。

非結核性抗酸菌症

胸部のX線検査やCTスキャンで特徴的な影を見つけます。痰の培養検査では、該当の菌を2回以上検出する必要があるため診断結果が出るまでに時間を要します。

また、結核に対し非結核性抗酸菌症では完治する治療薬は未だありません。

しかし、軽症であれば薬剤治療で十分な改善が見込めるため、治療は医師の指示に従いしっかりと行う必要があります。

主にクラリスロマイシンや抗結核薬など3種類ほどの薬剤を結核よりも長期間、最低でも1年半は服用を続ける治療方針です。病気の進行は気管支の状態によって、軽症、中等症、重症と3つに分類され、進行具合により異なった治療方針が採用されます。

主に化学療法や対症療法をメインに治療を進めていきますが、気管支の状態によっては手術をする可能性もあります。しかし、70歳以上の患者には身体を考慮して手術は行わないケースが殆どです。

肺抗酸菌症の予防

肺抗酸菌症は再発しやすく、違う菌による再感染の懸念もあるため注意が必要です。

結核菌を除く肺抗酸菌症の病原菌は、土壌中や家庭内の浴室など水回りに多く分布するデータがあることから、予防には下記の点を意識することが重要と考えられています。

  • 入浴後は浴室を乾燥させる。
  • お風呂は追い炊きをしない。
  • 農作業やガーデニングで土を触る際は手袋をし、土埃を吸入しないようにマスクを着用する。
この記事の監修

はるた呼吸器クリニック 院長春田 吉則

このたび2018年12月、広島平和公園近隣である堺町におきまして新規開院させていただきました、はるた呼吸器クリニック院長の春田吉則と申します。
大学病院勤務時代には、喘息・アレルギー専門外来にて15年余り診療経験を積み、また主たる基礎・臨床研究におきましても喘息研究に専念してまいりました。また医薬連携活動として「アズマネット広島」の事務局として企画、運営させていただいており、広島市薬剤師会および広島大学病院薬剤部の薬剤師の方々と連携し、ぜんそく患者さんのための活動を10年余り携わってきました。
今後もここ広島におきましてアレルギー・呼吸器領域の専門クリニックとして、これまでの経験と連携を活かし、微力ながら地域の方々の健康のため貢献できるよう切磋琢磨して参りたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い致します。

【経歴・資格・所属学会】

※略歴
広島大学医学部卒業
中国労災病院・広島大学病院・広島アレルギー呼吸器クリニック八丁堀等で勤務

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