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二日酔い | 症状から調べる | ファミリードクター

二日酔い

二日酔いは、飲み過ぎた後の、特に次の日の不快な状態です。二日酔いの予防には飲み過ぎないことが効果的ですが、飲み過ぎないためには酔いのレベルを知っておく必要があります。

酔いのレベルを判断するには、脳内のアルコール濃度を調べる必要があります。しかし、脳内のアルコール濃度は測定できないので、血液中のアルコール値測定によって推定します。酔いのレベルは、この血中アルコール値によって6段階に分類されます。その他、飲酒量も酔いの深さの目安になりますが、飲酒量に対する酔いのレベルは個人の体質によって大きく異なります。

二日酔いの原因

アルコール成分が、体外に排出される仕組みは以下の通りです。

  • 肝臓で「アセトアルデヒド」という成分に変化する
  • 更に「酢酸」に変化
  • 更に水と炭酸ガスになり体外に排出される

このような仕組みにより、アルコール成分が分解されるのです。
飲み過ぎた場合、2番の工程が滞ってしまい、1番のアセトアルデヒドが体内に蓄積すると考えられています。

この「アセトアルデヒド」は、頭痛、吐き気、動悸といった症状を引き起こす原因となる成分でもあります。そのため、大量飲酒によりアセトアルデヒドの濃度が高くなり、二日酔いの症状が現れます。また、アセトアルデヒドの分解能力が弱く、アルコール成分を体に溜め込みやすい人が「お酒に弱い」体質であると考えられています。

その他の原因としては、胃食道逆流症(逆流性食道炎)があります。通常、胃と食道は内容物が逆流しないように細く縮んでいますが、アルコールが入ることで緩みます。それによって胃液が食道へ流れ、吐き気や胸やけ、胃のむかつきといった症状が二日酔いとして現れる原因となるのです。

それ以外にも、低血糖や電解質異常や酸塩基のアンバランスなどが二日酔いの原因として考えられています。

酔いの症状

酔いの症状は、6段階に分類された酔いのレベル別に、さまざまなものがあります。

レベル1:爽快期(血中のアルコール濃度0.02~0.04%)

【飲酒量の目安】ビールのロング缶(500ml缶)1本・日本酒の1合程度
【酔いの症状】皮膚のほてり・判断が少し鈍くなる・陽気な気分 等

レベル2:ほろ酔い期(血中のアルコール濃度0.05~1.10%)

【飲酒量の目安】ビールのロング缶(500ml缶)1~2本・日本酒の1~2合程度
【酔いの症状】体温の上昇・心拍数が早くなる・手の動きが活発になる・ほろ酔い気分になる 等

レベル3:酩酊初期(血中のアルコール濃度0.11~0.15%)

【飲酒量の目安】ビールのロング缶(500ml缶)3本・日本酒の3合程度
【酔いの症状】気が大きくなる・大声を出す・カッとなる・立った時のふらつき 等

レベル4:酩酊期(血中のアルコール濃度0.16~0.30%)

【飲酒量の目安】ビールのロング缶(500ml缶)1~6本・日本酒の1~6合程度
【酔いの症状】千鳥足・呼吸が速くなる・吐き気・嘔吐 等

レベル5:泥酔期(血中のアルコール濃度0.31~0.40%)

【飲酒量の目安】ビールのロング缶(500ml缶)7~10本・日本酒の7合~1升程度
【酔いの症状】立つことが難しい・意識がはっきりしなくなる・何を言ってるのかわからなくなる 等

レベル6:昏睡期(血中のアルコール濃度0.41~0.50%)

【飲酒量の目安】ビールのロング缶(500ml缶)10本以上・日本酒の1升以上程度
【酔いの症状】揺すっても起きない・排泄物を垂れ流す・ゆっくりと深い呼吸をする 時々呼吸が止まる 等

レベルや飲酒量に関係なく、特にアセトアルデヒドの分解能力が弱い人が飲酒をすると、死亡に至る危険性もあります。

二日酔いの治療と予防

二日酔いの治療

二日酔いに特化した治療薬や特効薬等はありません。しかし、それぞれの症状にあった対策を取ることが症状改善に有効とされています。

頭痛の場合

頭痛を引き起こす原因であるアセトアルデヒドを体内から出すことで、頭痛が緩和されます。アセトアルデヒドの排出には、水分補給を行って下さい。その際には、熱すぎず冷たすぎない、常温の水や白湯等が適しています。

吐き気の場合

二日酔いで感じる吐き気の殆どは胃食道逆流症によるものです。早期に症状を緩和させたい人は、病院で吐き気止めや胃薬といった専用の薬を処方してもらいましょう。

体がだるい場合

体のだるさも、頭痛同様にアセトアルデヒドが原因と考えられています。アセトアルデヒドを排出するための水分補給だけでなく、十分に体を休めることが重要です。体を横にする際は、右肩を下にした右向きの体制にすると胃の出口が下を向くため、消化の効率が上がります。

二日酔いの予防

二日酔いを予防するために最も効果的な方法は、「飲みすぎないこと」です。

一般的に20gのアルコール(ビール・ロング缶1本、日本酒1合程度)が分解され体から排泄されるのに5時間かかると言われています。この量なら午後11時に飲み終えて次の朝には素面に戻っているので二日酔いの危険はないと考えてよいでしょう。40gのアルコール(ビール・ロング缶2本、日本酒2合程度)だと分解に10時間かかるので、次の日にアルコールやアセトアルデヒドが体に残っており二日酔いの可能性が高くなります。しかし、アルコールの適量には個人差があるため、お酒と上手に付き合うことを心掛け、「自身にとっての適量」を把握しておきましょう。

また、飲酒する際はアルコールの吸収スピードを抑制するため、一気飲みは避けアルコールと共に何かを食べることも予防策としてお勧めです。その他にも、チェイサーとして水やソフトドリンクを一緒に飲む等、アルコールだけを摂取しないように気を付け、二日酔いを予防しましょう。

この記事の監修

よこがわ駅前クリニック 医院長加賀谷 有行

 よこがわ駅前クリニックは2003年7月7日に開業して以来、地域の皆さまの安心、安全を目標にして、真心を持って地域の医療・保健・福祉サービスのお手伝いができるように、こころと身体の両方の相談や治療を実践して参りました。
 2024年4月1日より下原篤司先生の跡を継いで加賀谷有行がクリニック院長に就任しました。世の中は先行き不透明な時代になり、児童から高齢者まで各世代で悩みや生きづらさを抱える人が多くなっています。
 今後は心療内科・精神科を中心として内科的にも地域の皆さまの早期治療や健康増進に寄与できるよう尽力する所存ですので、よろしくお願いいたします。

【経歴・資格・所属学会】

昭和62年3月:広島大学医学部卒業
平成4年3月:広島大学大学院医学系研究科を修了
平成7年6月:広島大学医学部神経精神医科学講座助手・講師
平成14年4月:広島国際大学教授、学生相談室長、保健室長、学生部長。
平成28年9月:初代研究所所長 小沼杏坪先生の後任として、医療法人せのがわKONUMA記念依存とこころの研究所において、研究や啓発に従事している。
博士(医学) 精神科専門医 精神保健指定医 産業医

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