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高次脳機能障害 | 症状から調べる | ファミリードクター

高次脳機能障害

高次脳機能障害とは、脳が激しく損傷することによって様々な症状を引き起こす障害です。主な症状として、気持ちをコントロールすることや記憶すること、目的を持って行動すること等が上手くできなくなることが挙げられます。身体的な痛みや苦しみはないものの、これらの症状は日常生活を送る上で悪影響を及ぼしやすいため、精神的な辛さを伴います。そのため、高次脳機能障害の症状が出る患者本人だけでなく家族や友人等の近しい人にも、精神的な疲労が蓄積することがあります。

脳の機能が障害を受ける原因の多くが、脳卒中や事故等であると言われています。

高次脳機能障害の原因

高次脳機能障害の原因は、脳への大きなダメージです。脳へのダメージを与えた原因の多くが、脳出血やくも膜下出血等の脳卒中です。他にも、事故による外部からのダメージが引き金となり、高次脳機能障害の症状が現れるケースもあります。事故の場合は、頭部への強い打撲が原因です。

また、脳腫瘍や窒息による低酸素脳症等が高次脳機能障害の原因になることもあります。

高次脳機能障害の症状

高次脳機能障害の症状は、重症度により分かれます。軽度であれば症状に気付きにくいこともありますが、重度では日常生活に大きく影響を与えるような症状が現れます。

日常生活に影響を及ぼす代表的な症状が、「言語障害」です。言葉がうまく出てこない・言いたいことが言えない・言葉をうまく発音出来ない・文字の読み書きが出来ないといった言語に関する症状が現れます。

言葉障害以外には、「記憶障害」が出ることもあります。
記憶障害では、うっかり忘れてしまうといったミスが増える、食事をしたかどうかを忘れてしまう等の症状が出てきます。服の着方を忘れる、自宅への帰り道を忘れる等、日常的な行動についても忘れてしまうことがあります。

高次脳機能障害の症状

  • 言語障害
    物品の名称を間違える
  • 記憶障害
    物をどこに置いたか忘れる 約束を忘れる 出来事を憶えられない
  • 注意障害
    作業でミスが多い 気が散りやすい 左側にある物を見落とす
  • 遂行機能障害
    計画した行動ができない 約束した時間に遅れる
  • 社会的行動障害
    意欲がなくなって引き籠る 思い通りにならないと興奮したり暴力を振るったりする 特定の物や事柄にこだわる

注意力が散漫になるといった症状もありますが、症状が軽ければ、高次脳機能障害とは気付かずに過ごしている可能性もあります。

高次脳機能障害かどうかを判別する為には、どのような症状が出ているかの詳細を聞き取り、社会生活に影響が出ているかを判断することから始まります。過去に脳に機能障害を引き起こした病気をしたことがあるか、交通事故に遭ったことがあるか等も問診します。

検査には、頭部CTや頭部MRI、脳波検査や神経心理学検査が使用されます。

高次脳機能障害の予防と治療

高次脳機能障害の予防は、脳卒中を起こさないように日常生活を送ることや、交通事故に遭わないように気を付けて車を運転すること等です。仕事でも事故を起こさないように安全に十分に注意することが大切です。

高次脳機能障害の治療はリハビリテーションが基本になります。主に、言語療法や作業療法、理学療法等の医学的なトレーニングを行います。仕事ができなくなっている場合には、社会復帰を目指す為に、日常生活や社会生活に必要な動作のトレーニングを行うこともあります。職場復帰や再就職を目指して就労移行支援トレーニングをすることもあります。

高次脳機能障害のリハビリテーションを行う為には、まず本人がその症状に気付いていることが前提です。ですから、スムーズな治療を行う等には、周囲の人からの病院への積極的な協力姿勢が重要となってきます。適切な治療を受けられる環境作りや、必要に応じた福祉サービスの使用を考えなければなりません。

現状では、高次脳機能障害の完治に対する有効な薬や手術はありません。そのため、上記で挙げたトレーニングを行い、地道に回復する道を目指すことが最善策です。家族だけで患者をサポートすることが難しい場合には、無理をせず、福祉サービスの利用を検討してください。

この記事の監修

よこがわ駅前クリニック 医院長加賀谷 有行

 よこがわ駅前クリニックは2003年7月7日に開業して以来、地域の皆さまの安心、安全を目標にして、真心を持って地域の医療・保健・福祉サービスのお手伝いができるように、こころと身体の両方の相談や治療を実践して参りました。
 2024年4月1日より下原篤司先生の跡を継いで加賀谷有行がクリニック院長に就任しました。世の中は先行き不透明な時代になり、児童から高齢者まで各世代で悩みや生きづらさを抱える人が多くなっています。
 今後は心療内科・精神科を中心として内科的にも地域の皆さまの早期治療や健康増進に寄与できるよう尽力する所存ですので、よろしくお願いいたします。

【経歴・資格・所属学会】

昭和62年3月:広島大学医学部卒業
平成4年3月:広島大学大学院医学系研究科を修了
平成7年6月:広島大学医学部神経精神医科学講座助手・講師
平成14年4月:広島国際大学教授、学生相談室長、保健室長、学生部長。
平成28年9月:初代研究所所長 小沼杏坪先生の後任として、医療法人せのがわKONUMA記念依存とこころの研究所において、研究や啓発に従事している。
博士(医学) 精神科専門医 精神保健指定医 産業医

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