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水疱瘡(みずぼうそう) | 症状から調べる | ファミリードクター

水疱瘡(みずぼうそう)

水疱瘡は水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の感染により、特徴的な発疹が全身に生じる病気です。発熱や倦怠感も伴うことがあります。「水疱瘡」と呼ばれることも多い病気ですが、正式名称は「水痘(すいとう)」です。

9歳以下の子供にかかることが多く、2014年以前は年間で100万人以上が罹っていましたが、2014年から乳児期の定期接種が定められたため、徐々に患者数は減少しています。感染者のうち90%は子どもですが、大人が発症すると重症化するケースが多く特に注意が必要です。1年を通していつでも発症する可能性がある病気ですが、冬から春にかけて発症するケースが多くなります。

水疱瘡の原因

水痘・帯状疱疹ウイルスに感染することで発症します。水痘・帯状疱疹ウイルスは感染力が非常に強く、人から人へ感染します。水痘・帯状疱疹ウイルスは、感染した人の唾液や発疹の傷口から出た浸出液に含まれており、飛沫感染や接触感染だけでなく、空気感染(空気の流れで広範囲に広がる)も確認されています。そのため、保育施設や学校等集団生活の場で感染が広がることも多いという特徴があります。尚、水疱瘡を感染させてしまう可能性がある時期は、発疹が表れる1~2日前から、発疹が乾燥してかさぶたになるまでとされており、人により前後しますが発症してから1週間程度と言われています。

水疱瘡は一度感染すると免疫が形成され、再び感染することはない終生免疫と言われており、成人が発症する確率は低い病気です。ただし、子供の頃に水疱瘡になっていなかったり、予防接種を受けていない方は、発症する恐れがあるため注意が必要です。

水疱瘡の症状

水痘・帯状疱疹ウイルスは約10〜21日間の潜伏期間があり、潜伏期間を終えると発熱や倦怠感、頭皮を含む全身に皮疹が表れます。子供の場合は、強い痒みを伴うことも少なくありません。

皮疹は頭皮や顔から表れることが大半で、胴体、手足へと全身に広がり、次々に増えます。水疱瘡の発疹は赤いできもの(紅斑)や丘疹、小さな水膨れ、かさぶたと変化し、発症中は様々な形態の発疹が見られます。多くの場合、発症から1週間ほどで全てがかさぶたとなり、発熱等の症状も治まります。

しかし、成人が発症すると重症化するケースが多いです。子供の場合は発熱や倦怠感は2〜3日で治まるのに対し、成人は1週間以上続くことも少なくありません。また、肺炎や髄膜炎、脳炎等命に関わる合併症を引き起こすことも多く、死亡率も子供に比べて10~20倍にも上ると言われています。

水疱瘡は、重症化してしまうと100万人に20人の割合で死に至る恐れがある病気です。全身に発疹が見られる場合は、直ちに病院を受診して下さい。

水疱瘡の治療と予防

水疱瘡の治療

水疱瘡に対する治療は対症療法が主体です。発疹の痒みを抑え皮疹部を保護する石炭酸亜鉛華リニメントや、細菌感染を防ぐための抗菌薬等塗り薬を用いて治療します。発熱が見られる場合には、解熱剤(アセトアミノフェン)を使用することもあります。子供が発症した場合は軽症のケースが多く、対症療法のみの治療が大半です。

一方で成人の場合は、重症化していたり、重症化になる可能性がある場合に、アシクロビルの点滴が行われます。「アシクロビル」は、水痘・帯状疱疹ウイルスに対する抗ウイルス薬です。

水疱瘡を自宅でケアする際は、患部を冷やしながら体を清潔に保つことが大切です。患部が痒いときには、かかずにタオルにくるんだ保冷剤を当てて冷やして下さい。患部をかきむしると、傷ついた箇所から別の細菌に感染してしまう可能性があります。また、全身に発疹ができていても、シャワーを浴びることは可能です。体を洗う際は肌に優しいタイプの石鹸を泡立ててから、水疱を潰さないように優しく洗って下さい。体は優しく拭き、使ったタオルを使い回さにようにしましょう。尚、入浴はお風呂の水を介して感染が広がる危険があるため控えて下さい。

水疱瘡の予防

水疱瘡は人から人へ感染します。そのため手洗い、うがいを徹底して行い、感染リスクを下げることが大切です。アルコールや次亜塩素酸ナトリウム等で消毒するのも有効です。

また、幼児であれば無料で予防接種を受けられます。2014年より定期接種となったため、生後12ヶ月から生後36ヶ月のうちに2回接種して下さい。成人でも、子どもの頃に水疱瘡に感染していない方は、予防接種を受けた方が良いでしょう。予防接種を打てば必ず感染しないという訳ではありませんが、重症化しにくくなります。ただし、予防接種を打ったからと安心せず、手洗いうがいは徹底して下さい。

また、万が一水疱瘡を発症した場合は、二次感染の予防が大切です。痒みのある部分はなるべくかかず、石炭酸亜鉛化リニメントを塗って痒みを抑えましょう。ついかいてしまった時に皮膚を傷付けないために、爪を短く切っておくことも大切です。また、水膨れが全てかさぶたになり医師から許可を得るまでは入浴を避ける、接触は控えてマスクをする等、家族等に感染させないように注意して下さい。

この記事の監修

古江駅前すみれ皮ふ科 院長東儀 那津子

はじめまして。
私は広島市西区高須で生まれ育ち、ちどり幼稚園、古田小学校に通い、馴染み深い街で2022年3月に開院を予定しています。多くの経験を積むために、神奈川県で大学病院を中心に勤務し、アトピー性皮膚炎、じんましんなどのアレルギー疾患、小児皮膚疾患、悪性黒色腫などの皮膚癌の治療、手術、美容皮膚医療に携わってきました。
今まで培った経験を活かし、みなさまの皮膚の悩み・症状が改善され、すこしでも幸せを感じてもらえるお手伝いをさせていただきたいと思っています。この街の小さなお子様からご年配の方までが気軽に相談にきていただけるように努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【経歴・資格・所属学会】

【学歴・職歴】
平成18年
 北里大学医学部 卒業
平成18年
 北里大学病院 初期研修医
平成20年
 北里大学病院 皮膚科入局
平成23年
 北里大学病院 助教
令和2年
 北里大学病院 診療講師

北里大学病院のほか、大和市立病院、昭和大学病院藤が丘病院形成外科、
座間総合病院、武蔵村山病院、神奈川県内の皮膚科・美容皮膚科で勤務

【所属学会】
日本皮膚科学会
皮膚悪性腫瘍学会
日本美容皮膚科学会
日本アレルギー学会

【資格】
医学博士
日本皮膚科学会専門医・指導医
厚生労働省臨床研修指導医
ボトックスビスタ®︎認定医

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