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やけど | 症状から調べる | ファミリードクター

やけど

やけどの原因

やけどとは、熱による皮膚や粘膜の損傷のことで、一般的な外傷のひとつです。
原因として多いものは熱湯や天ぷら油等の液体、電気ストーブや石油ファンヒーター等の暖房器具、炊飯器の蒸気やアイロンと言った電器製品があります。

他にも、硫酸や硝酸、強アルカリ性のものに触った等の化学やけど、日焼け等の放射線やけどのようなものもあり、電気毛布やホットカーペット、湯たんぽ、使い捨てカイロ等長時間触れていることでやけどを負う、低温やけどがあります。

低温やけどは、熱によるダメージを長時間受けているため、軽症に見えても皮膚の奥まで熱傷が到達していることが多く、治療が長期に亘ることがあるため注意が必要です。

やけどの症状

やけどの症状は、皮膚が損傷した深さと広さによって異なり、軽症に見えても皮膚の奥まで損傷していることがあるため注意が必要です。
深さは「温度×時間」で決まり、深さによってI度からIII度に分けられます。

I度の場合、外傷は発赤や紅斑が見られ、症状はヒリヒリする痛みと熱感があり、治療期間は1週間以内と治りも早く傷跡を残さずに済みます。

II度浅在性の場合の外傷は、水ぶくれや発赤、びらんが見られるようになり、症状は強い痛みと灼熱感が出て、治療期間は2週間程度です。

II度深在性の場合の外傷は、水ぶくれや表皮脱落が起きて白色からピンク色になり、症状は強い痛みと知覚低下が起き、治療期間は2週間から数週間に及び傷痕が残ってしまいます。

III度の場合、外傷は白から黄褐色に、炎等による熱傷は黒色で乾燥して毛が抜けやすくなり、症状は神経まで損傷するため痛みは現れず、拘縮や肥厚性瘢痕、皮膚が赤く盛り上がるケロイド等の後遺症があることが多く、皮膚は再生しません。

やけどの広さの判定は、大人か子供かによって異なります。

大人の場合は、頭部と片腕をそれぞれ9%、上半身の前面と後面、片下肢をそれぞれ18%とする「9の法則」があり、子供の場合は、頭部を15%、片腕をそれぞれ10%、上半身の前面と後面、片下肢をそれぞれ15%とする「5の法則」があります。やけどを負った部位が小範囲の場合には、手のひらの面積を1%として換算します。

やけどの予防と治療

やけどの予防

やけどを予防する方法は、生活環境を見直すことです。

小さな子供のいる家庭では、子供の手が届く範囲に熱い調理器具やアイロン等を置かないようにし、炊飯器やポットの蒸気やヒーターに近付けさせない等の日常的に注意することで予防することが可能です。

やけどの危険があるものにはどんな物があるのか、それが何処にあって、どんな状態なのかを確認することも予防になります。
低温やけどを予防する方法は、湯たんぽや電気あんか、使い捨てカイロ等、40度から55度程度の低い温度の物でも、長時間同じ場所を温めているとやけどを負ってしまいます。

温度と時間の目安は、60度で約5秒、50度で約3分、44度なら6時間で低温やけどを起こす可能性があります。

やけどの治療

応急処置として、まずはできるだけ早く患部を流水で冷やすことが重要です。

冷やすことで熱傷が深くなるのを抑え、痛みを和らげることができます。
狭い範囲なら水道水、広範囲なら風呂のシャワー等で15分から30分ほど痛みが治まるまで冷やすのが目安となりますが、子供や高齢の方で広範囲のやけどを負った場合には、低体温にならないよう注意が必要です。

衣服を着用した状態でやけどを負った場合は、無理に服を脱がしてしまうと皮膚が剥がれてしまう恐れがあるため、衣服の上から水をかけて冷やすようにします。

水ぶくれは、表皮の下に体液が溜まっている状態ですので、できるだけ破らないようにしましょう。もし破ってしまった時は、手を清潔に洗ってから治療薬を塗るようにします。

I度は自然に治ることもあり、炎症を抑えるステロイドの入った軟膏による治療、II度浅在性は創傷被覆材や傷の状態に合わせて軟膏治療が行われます。

深いⅡ度になると軟膏や創傷被覆材による治療だけでは時間がかかり、後遺症が残る可能性も高くなります。

Ⅲ度では皮膚が死んでしまった状態になっているため壊死した皮膚を切除し、皮膚を移植する手術が必要となります。
熱傷面積が小児10%、成人15%を超えた場合、入院して点滴治療が必要です。

この記事の監修

古江駅前すみれ皮ふ科 院長東儀 那津子

はじめまして。
私は広島市西区高須で生まれ育ち、ちどり幼稚園、古田小学校に通い、馴染み深い街で2022年3月に開院を予定しています。多くの経験を積むために、神奈川県で大学病院を中心に勤務し、アトピー性皮膚炎、じんましんなどのアレルギー疾患、小児皮膚疾患、悪性黒色腫などの皮膚癌の治療、手術、美容皮膚医療に携わってきました。
今まで培った経験を活かし、みなさまの皮膚の悩み・症状が改善され、すこしでも幸せを感じてもらえるお手伝いをさせていただきたいと思っています。この街の小さなお子様からご年配の方までが気軽に相談にきていただけるように努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【経歴・資格・所属学会】

【学歴・職歴】
平成18年
 北里大学医学部 卒業
平成18年
 北里大学病院 初期研修医
平成20年
 北里大学病院 皮膚科入局
平成23年
 北里大学病院 助教
令和2年
 北里大学病院 診療講師

北里大学病院のほか、大和市立病院、昭和大学病院藤が丘病院形成外科、
座間総合病院、武蔵村山病院、神奈川県内の皮膚科・美容皮膚科で勤務

【所属学会】
日本皮膚科学会
皮膚悪性腫瘍学会
日本美容皮膚科学会
日本アレルギー学会

【資格】
医学博士
日本皮膚科学会専門医・指導医
厚生労働省臨床研修指導医
ボトックスビスタ®︎認定医

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