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腰部脊柱管狭窄症 | 症状から調べる | ファミリードクター

腰部脊柱管狭窄症

50代以上で「腰が痛い」「休憩しながらじゃないと歩けない」「足がしびれる」などの症状で悩んでいる人はいませんか?もしかすると「腰部脊柱管狭症」という病気かもしれません。MRIなどの検査を行うと70~80歳以上の70~80%の人に認められ、歳をとれば誰でもなる可能性がある病気で、重症化すると予後不良のため、早期の診断・治療が大切です。一方で、画像上腰部脊柱管狭窄があっても症状がない方も数多く存在します。また、似ている症状をきたす病気も多いため、気になる症状があれば整形外科を受診し、検査しましょう。

腰部脊柱管狭窄症の原因

背骨の後ろ側に脊柱管と言う神経(脊髄)の通り道があり、そこが狭くなり、中にある神経が圧迫されることで起こります。MRI検査で診断ができます。
多くは、加齢とともに椎間板が傷んでいき(変性)、椎間関節の変形や黄色靭帯の肥厚が起こることなどにとより、脊柱管が狭くなります。腰を酷使する労働をする方もなりやすいです。

すべり症と言って、腰骨が前後方向にずれ、そのため脊柱管が狭くなる病気もあります。すべり症の原因としては、子供の頃のスポーツが原因で発症することが多い腰椎分離すべり症と、加齢による椎間板の変性で起こる変性すべり症があります。生まれつき脊柱管が狭い人もおられます。

腰部脊柱管狭窄症の症状

最も特徴的な症状は間欠跛行(かんけつはこう)です。歩行によって臀部や下肢の痛みやしびれ感、脱力感などが強くなり、長い距離を歩くことができず、歩行と休憩を繰り返します。5分程度座るか前かがみで休憩すると痛みがとれ、また歩くことができます。前かがみや座位で症状が楽になるので、自転車には問題なく乗れることが多いです。炊事などで立ちっぱなしでいても症状が強くなります。その他には、尿もれや便秘などの排便排尿障害、陰部の知覚異常などの症状があります。

似ている症状の他の病気

足のしびれや痛み、間欠跛行は、腰部脊柱管狭窄症以外の病気でもみられる症状です。それぞれの病気にあった治療が必要なため、医療機関で検査する必要があります。鑑別が必要な、似ている症状の病気の一部を紹介します。

腰椎椎間板ヘルニア

比較的若い方の原因となる病気です。椎間板が後方に大きく飛び出して脊柱管を占拠し、主として片方の足の痛みや痺れが起こります。狭窄が強い場合には下肢麻痺や膀胱直腸障害をきたし、緊急手術となることもあります。

末梢動脈疾患(PAD)

足の血管に動脈硬化が起こることで血流が悪くなる病気です。歩行などの運動時に動脈閉塞のため末梢の筋肉に十分な酸素を届けることができず、下腿の後ろ側に痛みやしびれが生じ、間欠跛行がみられます。症状は前屈みでは軽快せず、立ちっぱなしでは症状が出ません。腰部脊柱管狭窄症と末梢性動脈疾患が合併していることもあります。末梢動脈疾患は重症化すると足を切断しなければならなくなることもあるため、間欠跛行の症状があれば我慢せずに受診しましょう。

糖尿病性神経障害

糖尿病による合併症の一つで、足先にしびれが出ます。足だけでなく、手指がしびれる場合もあります。糖尿病により動脈硬化や動脈閉塞が起こりやすくなり、末梢性動脈疾患の原因にもなります。糖尿病を患っている場合や強い疑いがある場合は糖尿病性神経障害の可能性もあり、医療機関での検査が必要です。

腰部脊柱管狭窄症の治療

間欠跛行に対して血流改善薬(リマプロスト)の内服が第一選択となります。効果は直ぐに出ないので、まず3ヶ月を目安に継続します。
痛みやしびれが強い場合は消炎鎮痛薬や神経痛の薬の内服、リマプロストの点滴、神経ブロックなどを行います。

リハビリテーションにより体幹と骨盤の柔軟性や筋力を増強させることも有用です。その他にはコルセットの装着や、姿勢指導、寝方指導を行います。

まず薬やリハビリテーションなどによる保存療法を行い、効果が得られない場合は手術を考慮します。排尿排便障害を起こしている場合や下肢の筋力低下が進行している場合は、重症化する前に適切に治療を行うことで良好な予後が得られる可能性があります。安静時のしびれ感は早期に治療を開始しても完全に消失しないことが多いです。手術は、顕微鏡や内視鏡を使って、圧迫している骨や靭帯を除去する除圧術が行われます。すべり症がある場合には症例により固定術を追加する場合があります。

腰部脊柱管狭窄症の対策

姿勢や動作により症状が変化するため、日常生活では体幹を伸ばす動作を避けるようにします。寝る時は両膝を曲げて寝たり、横向きになって腰を丸めて寝ると楽なことがあります。

この記事の監修

やまぐち整形外科リハビリクリニック 院長山口 一敏

昭和47年に前院長が当地に山口整形外科病院を開業させていただき、私もこの祇園で育ちました。高校卒業後は県外で過ごしましたが、平成15年に広島に戻り、平成26年より山口整形外科病院・副院長として祇園に戻ってまいりました。子供の頃はまだ近所に田んぼや畑がたくさんあり、近くの野山で虫捕りや魚釣りなどをして遊んでおりましたが、今では大型商業施設もある現代的な街に変化し、時の流れと年齢を感じざるを得ません。患者様に対して専門的な言葉や用語はできるだけ使わず、わかりやすい言葉でご説明するように心がけております。説明がわかりいくい時や疑問に思われることがあれば、遠慮なくおききください。前院長が築いてきた地域に根差した医療を継承し、適切な診断・治療とともに、患者様の思いに寄り添う医療をこれからも続けてまいります。

【経歴・資格・所属学会】

【経歴】
1986年 修道高校卒業
1996年 同志社大学卒業
2003年
 関西医科大学卒業、広島大学整形外科学教室入局
 広島大学病院(研修医)(~9月)
 マツダ病院(研修医)(~2005年3月)
2005年 松山市民病院
2007年 広島共立病院
2009年 安芸太田病院
2014年 山口整形外科病院
2021年 やまぐち整形外科リハビリクリニック開業

【資格】
日本整形外科学会認定整形外科専門医

【所属学会】
日本整形外科学会

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