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重症筋無力症 | 症状から調べる | ファミリードクター

重症筋無力症

重症筋無力症とは、神経から筋肉への指令が上手く伝わらなくなることによって力が入らなくなったり、疲れ易くなる病気です。
重症筋無力症には、主に目の症状が出て来る眼筋型と、全身の筋肉に症状が出る全身型の2種類があります。

男性よりも女性の方がやや患者数が多くなっています。年齢別では発症のピークはふたつあり,ひとつは5歳未満です。もうひとつのピークは男性で50~60歳代、女性で30~50歳代と、幅広い年代がかかりうる病気です。日本での患者数は約15,000人です。

重症筋無力症の原因

重症筋無力症の原因は、自発的に動かす筋肉の神経筋接合部の受容体に対する自己抗体が作成され、攻撃することです。
重症筋無力症では、なぜ異常な自己抗体が生成されるのか、その原因やメカニズムは解明されていません。分かっていることは、神経筋接合部にニコチン性アセチルコリン受容体があり、この受容体を攻撃するアセチルコリン受容体抗体(AchR抗体)に伴う重症筋無力症が最多であるということです。

このタイプが全体の85%ほどを占めています。
他にも、筋特異的受容体型チロシンキナーゼ抗体(Musk抗体)という自己抗体が原因となることもあります。

重症筋無力症の症状

重症筋無力症の症状は筋力低下と、それに伴う諸症状です。

顔面筋力低下や構音障害、嚥下・咀嚼障害、頚部・四肢筋力低下、呼吸障害等の症状が出てきます。
また、重症筋無力症になると疲れやすくなり、身体を動かすことで症状が強くなります。

しばらく休むことで回復するのが重症筋無力症の特徴です。人によって、午後になると疲れやすく感じる等、時間の変化に関連することが多くあります。

重症筋無力症になると、他の自己免疫疾患を引き起こすこともあります。呼吸機能不全になり、人工呼吸器が必要な状態になると、誤嚥の症状が現れたりもします。

重症筋無力症では、臨床所見や血液検査、電気生理学的検査や薬物による検査を行い、診断します。

血液検査では、重症筋無力症と関連する自己抗体の有無が分かります。

重症筋無力症の予防と治療

重症筋無力症の原因となる自己抗体がなぜ作られるのかが分かっていない以上異常、予防はできません。
これからの研究が進み、原因が明らかとなれば予防法だけでなく治療法にも進展が見られるでしょう。
治療方法には主に4つあり、胸腺摘除術、経口免疫療法、非経口免疫療法、対症療法になります。これらのうちどれを取るかは患者さんの状態に応じて決められます。

胸腺摘除術は、胸腺に腫瘍がある場合に取られる治療法です。
胸腺の腫瘍が重症筋無力症に関連する自己抗体が産生されていることがあるからです。
そのため、自己抗体の産生場所を物理的に無くすのです。

経口免疫療法では、副腎皮質ステロイド薬の内服を行います。
しかし、長期的にステロイド投与をすると副作用が心配されるため、神経内科専門医と相談しながら治療をすすめます。
免疫抑制薬である、シクロスポリンやタクロリムスを使用することもあります。

非経口免疫療法では、ステロイドパルス療法や免疫グロブリン静脈注射療法、血液浄化療法等を行います。
この治療は、症状が急激に悪化した場合や、人工呼吸器が必要になった時等に行われます。

対症療法は、重症筋無力症が軽症の場合や、眼筋型の患者さんに対して行われる治療法です。抗コリンエステラーゼ阻害薬を使用することも有ります。

この記事の監修

向井内科・脳神経内科 院長向井 智哉

昭和54年に開院した向井麻酔科外科医院を継承し、令和2年4月1日にリニューアル開院しました。41年支えてくださった地域の皆様にお礼申し上げるとともに、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

このたび、生まれ育った矢野でクリニックを開業することができ非常に嬉しく思います。勤務医時代には脳神経内科医として脳卒中の急性期治療や頭痛、認知症などを中心に診療していました。今後はその専門性を活かしつつ、内科医として幅広い診療を心がけます。信頼される地域のかかりつけ医を目指しますので、よろしくお願いいたします。

【経歴・資格・所属学会】

【学位】
・医学博士

【専門医】
・日本内科学会認定 総合内科専門医
・日本神経学会認定 神経内科専門医
・日本脳卒中学会認定 脳卒中専門医
・日本脳神経血管内治療学会認定 脳血管内治療専門医
・日本頭痛学会認定 頭痛専門医
・日本動脈硬化学会認定 動脈硬化専門医
・日本脳神経超音波学会認定 脳神経超音波検査士
・日本認知症学会認定 認知症専門医

【認定資格】
・難病指定医
・身体障害者福祉法指定医
・認知症サポート医(オレンジドクター)
・産業医
・ボトックス®治療資格

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