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子どもたちのもっと明るい未来のためにできることをみんなで考える|津福 彩夏さん

子どもたちのもっと明るい未来のためにできることをみんなで考える

男児のママとして自身がイライラしたり孤独を感じたりした子育て体験から、もっと子育てを楽しめる環境を同じ思いをする親子に届けたいと考えた津福さん。一人ひとりの声は小さくても、それを集めれば誰かに届く声になる。一人ひとりの力は小さくても、それを集めれば未来を変える力になる。そう考えて、同じ思いを抱く人たちが、声を発して、一緒に考えて、行動の原動力になる場「広島こそだて未来会議」を立ち上げました。

広島こそだて未来会議第2期運営メンバーと。前列左から3番目が津福さん

もともと子育てや企画に携わるお仕事をされていたのですか?

全くです(笑)。経理事務や接客の仕事に携わっていました。けれども思い返してみれば、中学生の時に将来やりたい仕事として「経営者」を挙げていました。〝好きな仕事を作り出せる〟ことがいいなと思っていたのです。

子育て環境について考えるきっかけは、今は小学生になった長男の子育てでした。我が子が可愛くてたまらない一方で、イライラしてはつい声を荒げ、自己嫌悪に陥ることを繰り返す日々がずっと続くように思え、つらく感じていました。

ちょっと子育てを休憩して気分転換できたら、また元の自分にリセットされて、ニコニコ過ごしていられるのに…。そんな思いで、傍で子どもを保育士さんに遊んでもらいながら、ちょっと子育てを休憩できる場所「ポリフォニースペース」(造語)を作りました。

託児付きリフレッシュ空間ポリフォニースペースオンオフ(現在は閉店) 公式サイト:https://polyphony.space/

それから「広島こそだて未来会議」のプロジェクトに発展したのですね

子育てに関わる環境に飛び込んでみて感じたのが、個人や団体や企業など、みんな「親と子どものためにもっと良い環境をつくりたい」という同じ思いを抱いているはずなのに、バラバラに活動していてもったいないということでした。

みんなで同じ目標に向かって、みんなで協力したら、より早く達成できるのではないかと考え、いろいろな立場の人たちが、それぞれの声に耳を傾け、一緒に考えて、思いを共有したり、目標を明確化したり、声を発信したり、具体的な行動を実現するきっかけを生む「広島こそだて未来会議」のプロジェクトを2018年に発足しました。

個人・団体・企業・行政の枠を超えて、子育て支援に関心のある有志のメンバーで運営。年に一度の「広島こそだて未来会議」の開催を主な活動として、子育てに関わる取り組みや情報を発信。有料のファンクラブ会員の輪を広げて、認定NPO法人をめざしています。

いろいろな立場から〝先進的な子育て環境〟について考える有志メンバーで運営。年に一度解散し、運営メンバーの入れ替わりを繰り返しながら活動しています

「広島こそだて未来会議」はどんなイベントですか?

初回の2018年は手探りながら、一歩進んだ新しい取り組みを行っているプレゼンター(発表者)の方に熱い思いを語っていただき、話を聞いてくれた観覧者にプレゼンターから質問を投げかける〝逆質疑応答〟で活発な双方向性を生む形を確立させました。また託児付きのキッズスペースを設け、親子が別々に過ごせる限界と考えている2時間で終わるものにしました。

2回目の2019年はさらにブラッシュアップさせて、「みんなでつくる未来の学校」というテーマを設定し、事前に発表したい方を募ってメンバーで選定。発表を聞いて思ったことを観覧者がリアルイムでスマホに書き込んで共有できる仕組みや、発表と逆質疑応答のポイントを可視化する〝グラフィックレコーディング〟なども新たに採用しました。

2020年は、会場での開催が難しいと判断し、オンラインで開催しました。

世の中を変えていくためには時間や継続が必要になるため、回を重ねるごとに見えてきた改善点や、新しい試みなども取り入れながら、最低でも10年は続けたいと計画しています。

メンバーの共通の思いは「自分たちの子ども世代には、もっと子育てを楽しめる、もっと子育てしたくなる未来を繋げたい」というもの。必要な支援が必要な人に届き、状況に合わせて利用できる選択肢がある、そんな〝先進的な子育て環境〟の実現のために、今からできることをみんなで考え、できることから実行しています。「言ったって何も変わらない」と諦めずに、まずはその声を集めて力に変える場に参加してみてほしいと願っています。

広島こそだて未来会議2019では、〝グラフィックレコーディング〟を用いてポイントを可視化して共有しました

ほかにはどんな活動をしていますか?

たくさんの方に共感していただいている企画が「まほうのシール」です。これはTwitterで目にした、「電車内で泣いている子どもを連れた母親の方に、どうしたら迷惑ではないと伝えられますか」という女子高生の呟きとそれに対する返信から思いついたもの。泣いている赤ちゃんやぐずった子どもに困っている親御さんを見かけたら、「大丈夫ですよ」「ごきげん直るといいですね」という優しさと一緒に渡せるシールです。

おかげさまでたくさんの企業や団体の支援をいただき、配布枚数を重ねてきました。このシールの取り組みを全国に広げ、誰もが常にお財布や名刺入れに忍ばせ、困っている親子にさっと差し出してくれるような社会になるといいなと願っています。

2020年には、コロナ禍で打撃を受ける飲食店と毎日メニューを考えるのが大変な子育て世代を結びつける「#おうちでお店ごはん広島」や、自粛ストレスを抱えていそうな知人の妊婦やママに電話で声をかける「まほうのコール」の呼びかけなどにも取り組みました。

お財布や名刺入れに入れて持ち歩ける名刺大の「まほうのシール」。裏面に企業広告を入れて販促に役立てることや、名刺にすることも可能。支援者ならびに各都道府県にパートナー団体を募集中

詳しくはこちら
[まほうのシールHP]

津福さんからのメッセージ

何もかも素人ながら「何もしなかったら何も変わらない」という思いだけで、共感してくれた人たちに支えられ、運営メンバーの熱意と多くの人たちの協力で「広島こそだて未来会議」は動き始めました。このプロジェクトを通して、広島の子育ての未来を、自分たちやこれから子育てする人たちが本当に望む方向へ舵を切っていけたら。そして将来は、少子高齢社会に関わる問題が今より改善した未来を、大人になった我が子たちに自信を持ってパスしたいと考えています。ちっぽけな結果となるかもしれないけれど、願う力が大きければ大きいほど、願う人数が多ければ多いほど、良い方に変わっていくかもしれないですよ。

津福 彩夏(つぶく あやか)

1987年広島生まれ、広島育ち、生粋の広島人。
一児の母で、「広島こそだて未来会議」のプロジェクト発起人。 2017年「託児付きリフレッシ空間ポリフォニースペースオンオフ」を立ち上げた後、2018年に「広島こそだて未来会議」を発足。イベント実施、「まほうのシール」の周知・拡散などの活動を通じて、広島のより良い未来の子育てをめざす。

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