「年のせい」から認知症へ


広島の頼れる病院・クリニック、ドクターを探すならファミリードクター
病院・クリニック 4,013件掲載中! (2019年11月13日現在)


総合TOP > 医療・健康コラム > 「年のせい」から認知症へ

2019/11/07

認知症とは、脳の働きが次第に低下して、今まではできていたことができなくなり、生活に支障をきたすようになった状態を言います。

原因で最も多いのは、アルツハイマー型認知症です。これは、ついさっきのことを忘れるという症状から始まる場合が多く、年のせいと思っているうちに、病的な物忘れになっていきます。



物忘れの検査では「3つの言葉を覚えて、2〜3分後にそれを思い出す」という課題がよく行われますが、元々は3つとも思い出せていたのが、2つになり、1つになり、0になって行きます。0になったら、明らかに記憶の障害があります。1つしか思い出せないのも、記憶の障害が少し出てきていると考えられます。


よく、「昨日の晩御飯のメニューを覚えていないのは年のせいだが、晩御飯を食べたことを忘れていたら認知症だ」というようなことを言いますが、御飯を食べたのを忘れるのは、すでに認知症がかなり進んでいる段階なので、そこから治療したのでは正直言ってちょっと遅いといえます。

早期ほど専門医に相談を

アルツハイマー型認知症は、認知症を発症する20年以上も前から、脳の変化がゆっくり進んでくることが分かっています。軽い物忘れが出てきた段階で、すでに脳の変化はかなり進んでいるのです。物忘れが出てきたら、年のせいでなく病気の始まりの徴候としてとらえ、とりあえず一度専門医に診てもらうことをお勧めします。認知症の診断は、早期ほど難しいので、軽い段階で専門医でない先生に相談すると、ほとんどすべて「年のせい」で片付けられてしまう可能性があります。「年のせい」だとか「みんなそんなもの」だとか思っているうちに、2〜3年たつと、認知症が中等度に進んで、家族に連れられて病院に来られることになります。


現在の認知症の治療は、進行を抑える治療なので、軽度から治療を開始すれば軽度の段階を長くできますが、中等度から治療すれば、中等度を長くすることになります。中等度の認知症とは、季節に合った服が選べなかったり、入浴が少し難しくなったりする段階です。日常生活の中で少しお手伝いが必要になります。軽度の認知症では、薬の飲み忘れや、仕事や家事、買い物などで少し失敗が出てきます。ご本人の自覚はあっても、周囲はそれほど困らないので、まだ認知症と気づかれないことが多いです。自分でおかしいなと思うことがあれば、ぜひ相談してください。

認知症予防に良いこと

認知症は、糖尿病や高血圧、高脂血症など、生活習慣病と深い関係があり、それらの治療をすると、認知症の発症を3割程度減らすことができます。運動は、血流も改善し、記憶に重要な海馬の神経細胞も少し増えるので一番のお勧めです。30分程度のウォーキングや、ラジオ体操、社交ダンスなど何でもいいです。しりとりや、数を数えて3の倍数の時に手を叩くなど、運動しながらちょっと頭を使うとさらに良いと言われます。


人との交流や、趣味など活動的な生活をして、生きがいのある人は認知症になりにくいという研究結果もあります。アルツハイマー型認知症では脳にアミロイド蛋白が沈着しますが、寝ている時にそれが脳から洗い流されるので、7、8時間の質の良い睡眠も大切と言われています。お酒は控えめに、タバコを吸っている人はぜひ禁煙をしてください。



ビタミンB1、B12、葉酸などのビタミンは、認知症状に影響するので、不足しないように気を付ける必要があります。そういった意味でもバランスの良い食事が大切です。炭水化物は摂りすぎない方が良いとされています。


とはいえ、できることをすべて頑張ったとしても、認知症になる可能性は誰にでもあります。なってしまったら、努力が足りなかったせいだとか思わず、仕方がないと受け入れていくしかありません。その中で、できるだけは良い経過となるように少しずつ頑張っていきましょう。そのためにも、少し気になると思った時に、念のため今の状態をチェックしにいらしてください。

受診の前に、必要な人は遺言書を

物忘れなど何か気になった時は早めに相談してほしいのですが、一つだけ気を付けて頂きたいことがあります。それは、必要がある方は、遺言書を作成して、しっかり手続きをしてから受診してほしいということです。というのも、まだ認知症ではない、軽度認知障害くらいだろうと思って受診される方の多くが、すでに明らかな近時記憶の障害があり、認知症と診断されることも結構多いからです。そうなると、遺言書を書ける状況かが問題になってしまうので、必要のある方(というか書いてほしいご家族?)は困ってしまうことになります。ご家族の悩みを増やさないためにも、遺言書を書く必要があれば、早めに作成しておかれることをお勧めします。

 コラムニスト紹介

井門ゆかり脳神経内科クリニック 院長  井門 ゆかり 


2018年4月18日新規開院致しました。
当クリニックでは、脳神経内科、内科、物忘れ・認知症専門外来を行っております。
普通の内科のご病気(風邪、高血圧、高脂血症、糖尿病など)から、脳神経内科のご病気(認知症、パーキンソン病、頭痛、脳梗塞後遺症、めまい、しびれ、ふらつき、その他)まで、お気軽にご相談下さい。
特に認知症に関しましては、認知症疾患医療センターで8年間センター長を務めていた経験を活かし、認知症の早期発見、適切な治療と対応を通じて、患者様ご本人が住み慣れた地域で幸せに生活するためのお手伝いができればと思っております。
全国各地で「幸せな認知症医療」について講演させていただいております。病気にはなりたくないけど、もしなってしまったとしたら、次に目指すのは、スムーズに診断がついて、病気に合った最善の治療を早く開始し、最大限に経過を良くすることではないでしょうか。現在の認知症治療は進行を遅らせる治療なので、中等度の時期でなく軽度の時期に病院に来ていただくことが、とても大事です。認知症とできるだけ幸せにつきあっていけるように、認知症カフェやカウンセリングなど、さまざまな側面から患者様・ご家族様をサポートさせていただきます。
認知症に限らず、完全な治癒は難しい患者さんの場合でも、症状の原因を知り、適切な対応をしていくことで、生活の質を大きく向上させることは可能です。
ふるさと広島で、来院してくださった患者さんやご家族の皆様に安心と笑顔を届けていきたいと願っています。

【経歴・資格・所属学会】
略歴
ノートルダム清心中学・高校卒業
広島大学医学部卒業・広島大学大学院修了 博士(医学)
広島大学医学部第三内科(神経内科)医員
草津病院神経内科、広島医療専門学校神経内科部長、メープルヒル病院神経内科部長を経て、
2010年7月
広島県西部認知症疾患医療センター設置に伴い、センター長就任。
2015年7月
日本で初めてとなる認知症疾患医療センターと地域包括支援センターが合併した広島県西部認知症疾患医療・大竹市認知症対応・玖波地区地域包括支援・合併型センター センター長
2018年4月18日
井門ゆかり脳神経内科クリニック開設

資格
日本神経学会認定神経内科専門医・指導医
日本内科学会認定総合内科専門医
日本老年医学会認定老年病専門医・指導医
日本認知症学会専門医・指導医
認知症サポート医

column/button_type2_c

 関連記事

column/btn_column_page
トップ