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飲み過ぎに注意の話No.1

2020/07/03

でも、油断しちゃうと飲み過ぎちゃいますよね。

皆さん、こんにちは。加賀谷です。
新型コロナに伴う自粛要請が解除されて、自粛空け飲み会なんて企画している人も居るかもしれませんね。やっぱりオンライン飲み会よりは楽しいよね!と言っているかも。

繁華街や観光地に少しずつ賑わいが戻っているようで、西条の酒蔵通りも週末は賑やかになりました。西条は灘、伏見と並ぶ日本三大酒処として知られており、特に西条は吟醸酒の製造法を世に広めたことで有名なそうです。オバマ大統領が来日した時に西条の某酒蔵の日本酒を飲まれたことが記憶に残っている人も居られるかもしれません。加賀谷も広島県民として誇らしく思いました。西条の酒蔵通りは白壁やナマコ壁が並び煙突が立ち、散策するとそれぞれの酒蔵の趣が映える風情ある観光名所です。また、東広島市には酒類総合研究所があり、広島大学と共同研究もされているようで、今や科学の観点から日本酒を研究する時代になっています。

WHOによると、アルコール依存症の診断基準は以下のようになっています。

アルコール依存症の診断基準

  1. アルコールを摂取したいという強い欲望(渇望)
  2. 飲酒の開始、終了、あるいは飲酒量に関して、その摂取行動を統制することが困難(コントロール障害)
  3. 飲酒を中止もしくは減量した時の生理学的離脱状態(離脱症状)
  4. はじめはより少量で得られたそのアルコールの効果を得るために、飲酒量を増やさなければならないような耐性の証拠(耐性)
  5. 飲酒のために、それに代わる楽しみや興味を次第に無視するようになり、アルコールを摂取せざるをえない時間や、その効果からの回復に要する時間が延長する。
  6. 明らかに有害な結果が起きているにもかかわらず、依然として飲酒する。

これら6項目のうち、過去1年で3項目以上に該当すると、依存症と言えます。
上の説明は専門用語で少々難解なので、日常生活用語で以下に言い換えてみます。

  1. 家に帰ったら真っ先にビールを探す。家にアルコールが無かったら大雨でも買いに行く。
  2. 飲み始めたら止まらない。ハシゴ酒して終電を逃してしまう。
  3. 二日酔い。翌日に頭が痛い。手が震える。
  4. 以前に比べて同じ量では酔えなくなった。
  5. 日曜日に家族でドライブしたいけど、やっぱり昼から飲みたいから家に居るよ。酔いは醒めたと思っていたのに飲酒運転で捕まった。
  6. 内科の先生から肝臓が悪いから断酒しろと言われたけど、止められるわけないだろ。

どうでしょうか、あなたの身近に3項目以上該当する人が居られますか。

私は次のように考えています。

  • アルコール依存症は生活習慣病です。
    だから、治療には本人の生活習慣も含めた行動の変化が必要です。
  • アルコール依存症は進行性の病気です。
    だから、早期発見・早期治療が重症化の予防と社会生活の維持にとって重要です。

早期治療を考えている人に朗報です。1年前に飲酒量低減薬ナルメフェンが上市され、初期の患者さんなら減酒による治療が可能になりました。ナルメフェンは酒を飲みたいという気持ちを抑える働きがあります。ナルメフェンは飲酒の1~2時間前に内服する薬です。毎晩の晩酌量を減らすために毎晩ナルメフェンを使ったり、週末の飲み会で飲み過ぎないように飲み会の前にナルメフェンを使う方法があります。患者さんによっては「いつもより少ない酒の量で満足できた」という人も居られます。ナルメフェンを処方し、加えてカウンセリング等の心理社会的療法を実施することが必要です。なお、厚労省の方針で、この薬を処方できるのは現時点では一部の医療施設に限られます。

飲酒についてちょっと心配なあなたの知り合いに、新しい治療法を教えてあげてください。早目の相談、早目の治療で、健康な生活を維持しましょう。

コラムニスト|医療法人せのがわよこがわ駅前クリニック 医院長:加賀谷 有行

医療法人せのがわよこがわ駅前クリニック

診療内容

内科・循環器内科・心療内科・精神科・デイケア・精神科デイケア・禁煙外来・予防接種

所在地・アクセス

〒733-0011 広島市西区横川町2丁目7-19 横川メディカルプラザ6F Tel:082-294-8811
  • JR 横川駅(南口)より徒歩約2分
  • 横川駅より中広通り経由で約1分

医院長  加賀谷 有行 

 よこがわ駅前クリニックは2003年7月7日に開業して以来、地域の皆さまの安心、安全を目標にして、真心を持って地域の医療・保健・福祉サービスのお手伝いができるように、こころと身体の両方の相談や治療を実践して参りました。
 2024年4月1日より下原篤司先生の跡を継いで加賀谷有行がクリニック院長に就任しました。世の中は先行き不透明な時代になり、児童から高齢者まで各世代で悩みや生きづらさを抱える人が多くなっています。
 今後は心療内科・精神科を中心として内科的にも地域の皆さまの早期治療や健康増進に寄与できるよう尽力する所存ですので、よろしくお願いいたします。

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