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白血球の異常値について - 多い場合や少ない場合に疑われる病気とは?

2021/03/01

新型コロナウイルス感染防止には、日頃の健康管理がとても大切です。そのためにも定期的な健康診断は必ず受けてください。

さて、みなさんは健康診断の結果で白血球数の異常を指摘されたことはないでしょうか?
今回は白血球についてお話したいと思います。

白血球とは?

白血球は赤血球・血小板とともに骨髄で造られる血液細胞の一種で、外部から体内に侵入した病原体や異物から身体を守る働きをしています。基準値は男女とも約3500~9000個/μLです。

白血球には大きく分けて5つの種類(好中球・好酸球・好塩基球・単球・リンパ球)がありますが、それぞれが大切な役割を果たしています。まず、それらについて簡単に説明します。

  • 好中球:
    白血球の中で一番多いのが好中球です。体内に侵入した細菌やカビなどの病原体をいち早く発見して、処理する中心的な役割を担っています。
  • 好酸球:
    気管支喘息、アレルギー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などのアレルギー反応に関わっています。また、寄生虫感染に対する防御において大事な働きを担っています。
  • 好塩基球:
    炎症反応やアレルギー反応に関わっています。
  • 単球:
    単球はマクロファージともいわれ、細菌だけでなく古くなった不要な細胞も処理します。また、リンパ球に病原体や腫瘍の存在を知らせて、リンパ球の活動を助ける働きもしています。
  • リンパ球:
    Bリンパ球、Tリンパ球およびNK細胞に分類することができます。さまざまなサイトカインの産生を介して、種々の免疫応答(抗体の産生、病原体や腫瘍細胞の直接障害など)の主役を担っています。

白血球数の増加をきたす病態にはどんなものがあるでしょうか?

日常診療において最も頻度が高いのは細菌感染症ですが、健康診断(自覚症状が何もない状態)で指摘された白血球増加で、よく遭遇する原因が喫煙です。これはタバコの有害物質によって体に慢性的な炎症が起こり、白血球が増加するためだと考えられています。また、無症状の方で白血球増加が認められた場合、頻度が決して高くはないのですが、慢性骨髄性白血病などの血液疾患の可能性を否定しておく必要があります。

その他、白血球増加の原因として、がん、外傷、ストレス、ステロイドなどの薬、妊娠、アレルギーなど、さまざまなことが挙げられます。

白血球数の減少をきたす病態について

白血球の主体は好中球であることから、白血球減少症は通常、好中球減少症を意味します。原因の多くは骨髄での産生低下ですが、破壊や消費亢進の場合もあります。白血球減少を認めた場合も、やはり頻度は高くないのですが、白血病や再生不良性貧血など血液疾患の可能性をまず否定する必要があります。

また、内服している薬の副作用による白血球減少にも注意が必要です。その他、ウイルス感染、膠原病、肝硬変などが、白血球減少の原因として挙げられます。

まとめ

以上のように、白血球数に異常があった場合に考えられる原因はさまざまです。健康診断で白血球数の異常を指摘され、精密検査を受けて重大な病気が見つかるケースの割合は実際にそれほど多くはありませんが、まれに白血病のような重篤なものも見つかります。そのため、健康診断で白血球数が正常範囲外にあるとわかった場合は、そのまま放置せず、できれば血液内科への受診をお勧めします。そこで再検査を行い、貧血の有無や白血球の内容などを調べることによって、臨床的に問題となる病態かどうかの診断を行うことになります。

血液に関連する病気は初期には自覚症状がほとんどない場合も多く、普段の日常生活では病気に気づくことが難しいため、病気が見つかった時にはすでに進行期というケースも少なくありません。

みなさん、健康診断で異常を指摘された際には、必ず精密検査を受けてくださいね。

コラムニスト|のだ内科ファミリークリニック 院長:野田 昌昭

のだ内科ファミリークリニック

診療内容

内科・小児科・血液内科・血液検査・心電図検査・腹部超音波検査・レントゲン検査・感染症迅速検査・骨密度検査・腹部エコー検査・聴力検査・視力検査・色覚検査・健康診断・肺がん検診・大腸がん検診・被爆者健康診断・被爆二世健康診断・骨粗しょう症検診・肝炎ウイルス検査・風しん抗体検査・前立腺がん検診・ピロリ菌検査・予防接種

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院長  野田 昌昭 

2018年3月に西区井口明神で「のだ内科ファミリークリニック」を開院させていただきました院長の野田昌昭と申します。
広島大学医学部を卒業後、内科・血液内科を中心に長年数多くの診療に携わってきた経験を生かし、お子さまからご年配の方までご家族で気軽に訪れて、何でも相談できる明るいクリニックを目指したいと考えております。地域のみなさまの健康をサポートする、頼れる「かかりつけ医」となれるよう努力研鑽してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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