自分の食べるものが自分の体を作っています。
今、日本では「エネルギー過剰による肥満」と「エネルギー不足で痩せている若い女性と高齢者の低栄養」が大きな問題となっています。 成人病と言う言葉に代わって、生活習慣病という言葉が使われるようになって久しいですが、現在では40代~60代の男性の約3人に1人が肥満と言われています。
食物を摂取し、使いきれずに余ったエネルギーは内臓脂肪として蓄えられます。これが体に悪さをするメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)と呼ばれるものです。特に中高年の生活習慣病(糖尿病、高血圧、脂質異常症)の重大な発症リスクとなります。
また、それと両極になりますが、エネルギー不足による若い女性の「やせ」と高齢者の「低栄養」も大きな問題となっています。若い女性の極端なダイエットは月経機能の低下や妊産婦の低栄養による低体重児出産などのさまざまなリスクにつながり、高齢者の低栄養は筋力の低下や免疫力の低下、骨粗鬆症など要介護者の増加につながります。
この「過剰栄養」と「低栄養」の問題は国としていろいろな施策が講じられていますが、思うような結果が得られていません。ひとりひとりが「自分の食べるものが自分の体を作っている」という意識を持って、食事のことを考えてみましょう。
手軽に、お金さえ出せば好きなものが食べられるようになったのは、ついこの間のような気がしています。
戦後まずまず食料がいきわたってからの『食』の移り変わりを目の当たりにし、
「どうしてこんなことになったのだろう」
「この間までこんなことはなかったのに……」
「お婆ちゃんの小さい頃はね……」
と孫相手に昔ばなしをしたくなります。
テレビをつければ毎日のように健康番組が放映されています。
これらの情報に一喜一憂している方から相談されることが増えてきました。
実は食物と体の関係は考えようによっては、とても単純なことです。
食物は体の養分になり、食べ過ぎなければ身体の健康を維持します。
でも食べ過ぎると、身体に良くない。
植物でも、水や肥料を与えすぎたら枯れてしまうのと同じなのです。
食べることは、生活のリズムの中で大切なものです。
そして、生活リズムは私たちの持っている「体内時計」に強く影響を与えます。
食事のリズムがどうなのか、食事の量はどうなのか、栄養バランスはどうなのか、まずは自分の体に向き合ってみましょう。
次回は、規則正しい食事をすることの意義について書きたいと思います。
長年、管理栄養士として病院の給食管理・栄養管理に従事後、現在、内科糖尿病専門医院にて糖尿病を中心とする生活習慣病、高齢者の低栄養等の栄養食事指導をしています。
ライフワークとして「あなたの体は、あなたの食べたものでできている」ということを意識した「食」の啓発活動を行なっています。
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