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さぁ、朝ごはんを食べましょう

2019/05/22

朝は苦手という方、先ずは何でもよいので、朝ごはんを用意することから始めてみませんか?

朝ごはん、Breakfastは夕食後の長い絶食を破る最初の大切な食事です。

朝、目覚めた体は代謝が低下していて、エネルギーを欲しがっています。脳を大急ぎでフル回転させるためにも朝食が必要です。 しかし、厚生労働省の調査によると朝食の欠食率は、平成11年以降男女ともに全体的に増加しており、特に20歳代が最も高く、男性で約3割、女性で2割。その後、年齢とともに低くなっています。20歳代の一人世帯に限った欠食率は、男性で約7割、女性で約3割となっています。(野菜ジュースだけ、サプリメントだけ等は除いています。)

前編でも書きましたが、現代のように夜型の生活が多いと、どうしても夕食を遅い時間にとり、「朝食は食べられません」という人が多くなってしまいます。しかし、これが習慣化すると体に深刻な悪影響を及ぼすという研究結果もあります。またこれとは反対に食事パターンを『朝型』にすると、体重が減り、糖尿病の人では血糖コントロールが改善するという研究結果もあります。

食事パターンを「朝型」にすると血糖コントロールが改善!
痩せるのも夢ではない。

この研究は、イリノイ州シカゴで開催された第100回米国内分泌学会で発表されたもので、2型糖尿病で肥満の人を対象に行われた研究です。この人たちを2つのグループに分けて、摂取カロリーは同じでも、朝食のボリュームを多くした人たちと、1日の食事を均等な量で6回に分けて食べるグループとの2グループで3か月間測定をしました。その結果3か月後には朝食をしっかり摂ったグループが、平均して体重を5㎏減らすことができました。また、空腹時血糖値が平均して、167㎎/dlから129㎎/dlへと低下し、更にインスリン投与量まで減少したということです。

肥満や過体重の人に共通する食事スタイルとして、夕食でドカ食いをしてカロリーを摂りすぎるケースがあるが、この食事習慣を改めて、なるべく朝食でカロリーを多めに摂り、昼食は普通に、夕食は少なめになるように調整すると、1日摂取量が同じでも、体重が減りやすく、糖尿病の人ではインスリン量が節約できて血糖コントロールが改善するということらしい。それに加えて朝食を食べることで、体内時計のスイッチを入れ、体内リズムが調整されるのですから素晴らしいと思います。

他にも朝食を欠食している人は、それ以外の不健康な習慣(習慣的な飲酒や、喫煙、夜遅い食事、睡眠不足など)を持っていることが多く、一概に朝食を食べることが健康を保証するとは言えませんが、朝食を食べるように努力をしてみることが、健康生活につながることは確かなようです。

朝食はどんなものを食べるのが良いのでしょうか?

理想的な朝食は人それぞれの活動量や年齢によっても違いますし、その人の置かれた環境や状況によっても随分違ってくると思います。1日の必要量を3食で等分に分けて考えるのか?または、昼から夜までは長いので夕方に少しお腹に入れたい方もあるでしょう。
最近では、「夜は軽めが良いでしょう」という意見も多く、朝3:昼4:夕3という配分が良いという説もあります。しかし何はともあれ、まず朝の忙しい中、どれだけのものが準備できるかはその人それぞれの事情があるので、朝食初心者からアドバイスを始めましょう!

現在朝食を食べていない人は、まず何かを口に入れることから始めてください。

バナナでも良いです。ヨーグルトを1個食べてみるのもよいでしょう。牛乳を飲んでみてもよいでしょう。あなたの内臓は朝が来たことを認識して動き始めました。そこから少しずつ他の物を考えてみましょう。

次に野菜ジュースやヨーグルトだけは摂っているよという人は穀類を摂ってみませんか。

穀類(米飯やパン)は炭水化物です。糖質と食物繊維でできています。何より糖質は速やかにブドウ糖となり脳のエネルギーになります。また、かさがありますので、内臓を刺激し便通を起こします。

🍙と野菜ジュースでも良いですが、できればもう少し相性の良い味噌スープ(刻み野菜の常備と鍋に水を入れて準備します)を作るのもおいしいですよ。だし入り味噌を溶き入れればOKです。牛乳入りでもなかなかおいしいです。

準備する時間なんてないという人は

フリーズドライの味噌汁と納豆や生卵で卵かけご飯はどうでしょうか?たんぱく質も摂れます。米飯を炊くの面倒だと思われますか? パックご飯を買っているという方も時々耳にしますが、私はもう何年も前から、2~3合のご飯を炊いたら1人分ずつ食べる1食量を量ってラップをして冷凍をしています。普通の白米や、もち麦入り、雑穀米などいろいろなバージョンを楽しみます。

「わーもう無理っぽい!」

と思われた人は、作りやすそうな得意メニューを作って交互に食べてみてはどうでしょうか。主食はご飯でもパンでもお好きなもので。

朝は専業主婦であっても、もう目が回りそうに忙しいですが、私が子育てと仕事で忙しかった時を思い出してみました。あまりに忙しくて、詳細は思い出せないのですが、実は何種類かのパターンを作ってローテーションしていたので、材料の準備もできて案外らくちんだったのかもしれません。よく作っていたらくちんメニューを2品ご紹介します。

我が家のポークビーンズ

玉ねぎと人参を粗みじんに切って油で炒めます。鍋がじりじり音を立てている間にベーコンかソーセージを小さく切ります。お水を1人分120㏄位加えて煮立て、蒸した大豆やミックスビーンズを加えて、最後にトマトの水煮缶を入れて、塩コショウで控えめに味を調えます。冷蔵庫に余っている野菜やキノコを刻み込んでもよいでしょう。

ふしぎにトマトを加えると味がまとまります。このお豆たっぷりのスープとトースト、ヨーグルトでお腹はいっぱいになります。長く続いたメニューですが、実は子供たちは「あまり好きではなかった」と最近聞きました。


簡単ピザトースト

まだ、あちこちにパン屋さんもピザ屋さんもない頃でしたので、なかなかこれは好評だったと思います。食パンにバター、ケチャップを塗り、その上に薄切りの水でさらした玉ねぎ、ピーマン、ハムを載せ、たっぷりのチーズをかぶせて、オーブントースターでこんがり焼きます。牛乳とフルーツを添えれば素敵な朝食です。

プレーンヨーグルトとバナナやキゥイフルーツ、キュウリなどを刻んで和えるフルーツサラダもおいしいです。他にはスペイン風オムレツ(具を沢山入れて、フライパンに流しいれて作るオムレツです)やキャベツの巣ごもり卵など、電子レンジで簡単にできるメニューもありました。


朝ごはんが順調に準備できるようになったら、次は昼ごはんについて考えてみましょう。

次回は昼ごはんの問題について考えてみたいと思います。働いている人にとっては、唯一ののんびりできる昼休みですし、短時間で食事を済ませなくてはいけません。昼食の選び方も毎日のことなので、重要です。

また、一人自宅にいらっしゃる方にとっては、やっと解放された一人ご飯かもしれないし、「作るぐらいなら、その辺のものを食べて簡単に済ませたい」という人もあるでしょう。

昼ごはんにはどんな問題があるでしょうか? 考えてみましょう。

コラムニスト

管理栄養士  伊藤 教子 

長年、管理栄養士として病院の給食管理・栄養管理に従事後、現在、内科糖尿病専門医院にて糖尿病を中心とする生活習慣病、高齢者の低栄養等の栄養食事指導をしています。
ライフワークとして「あなたの体は、あなたの食べたものでできている」ということを意識した「食」の啓発活動を行なっています。

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